股関節の痛み
股関節は人の中で最大の関節であり、構造上大きな負担がかかるようになっています。
片足で立っているだけで3倍、早足で歩くと10倍もの重さが股関節にかかると言われています。
その他の階段の上り下り、立ち上がり動作など日常的な動きでも負担がかかります。
股関節は太ももの骨(大腿骨)の丸い骨頭(ボール)が骨盤の臼蓋(受け皿)に組み合わさった関節になります。
骨頭と臼蓋の表面は軟骨で覆われ、股関節の周りは筋肉や靭帯に囲まれて補強され安定した動きを可能にしています。
曲げ伸ばし、閉じる、開く、捻る、回すなど、あらゆる方向の運動が可能な関節で動く範囲が広く、上半身の動きや重さを支える事が主な機能であります。
最初は、股関節を曲げた際に詰まる感じや引っかかる感じがして、長時間歩くと足が重だるくなったり痛みを感じます。
進行すると日常生活での不便な事が増えます。
足の爪切り、靴下の脱ぎ履き、階段や段差の上り下りで痛みを感じるようになります。
また、足の長さ、太ももの太さが左右で違ったり、足を引きづったり外出時には杖が必要になります。
痛みの悪循環
股関節に痛みを感じて動かなくなる
↓
動かないため、筋力が落ちる
↓
筋力が落ちて股関節が不安定になる
↓
股関節が不安定になり、更に痛みが増加
↓
痛みが強くなって、更に動かなくなる
股関節の痛みは負のスパイラルによる悪循環を招きます。
この悪循環から抜け出すには、一刻も早く痛みを緩和して動けるようにする事が大事です。
痛みが減れば、日常生活の動きで筋力が戻り、関節が安定していきます。
股関節痛の分類
股関節の痛みを生じる疾患は、数多くあります。
この中でも特に多いのは、変形性股関節症と軟部組織の問題による股関節痛になります。
変形性股関節症
加齢(老化)をベースに軟骨がすり減る事で痛みや動きの制限を生じる疾患。
太ももと骨盤の骨の間にある軟骨が加齢とともに痛んで部分的に減ってきて関節に負担がかかり炎症が起きると痛みが発生し、更に進行すると骨棘といって余計な骨がでてきて動きが悪くなります。
臼蓋形成不全・臼蓋発育障害などで病気が素因としてあり、太ももの骨頭を覆っている骨盤側の臼蓋(受け皿)が浅く、骨頭を覆う部分が少ないため不安定な状態で生活を送っている事で段々と軟骨がすり減りる事で起こることが多い。
日本人は比較的、臼蓋が浅く軟骨のすり減りを生じやすい。
痛みは股関節痛だけでなく、お尻や太もも、膝に痛みや違和感が現れるため、股関節の病気だと気が付かない事も多い。
肥満、スポーツや重量物の作業に従事する仕事をしていると発症リスクが大きい。
変形性股関節症のステージ分類
前期(予備軍)
目立つ軟骨の損傷はないが、臼蓋形成不全などがある状態。
違和感や軽い痛み。
初期(軟骨が少し減った状態)
軟骨が局所的にすり減り、関節の隙間がやや狭くなった状態。
立ち上がりや歩き初めに痛み。
進行期(軟骨のすり減りが進行)
軟骨がすり減り関節の隙間が一部消失。
骨嚢胞(骨表面の小さな穴)や骨棘(骨のトゲ)ができる
脚長差(足の長さの左右差)がみられる
痛みが最も強い時期でしゃがみ込み、階段の上り下りが困難。
末期(関節の隙間が消失)
軟骨がすり減り関節の隙間の消失が広範囲にみられる。
関節の動きがかなり悪くなり、日常生活がとても不便になります。
軟部組織の問題による股関節痛
軟部組織の問題による股関節痛は筋肉筋膜、靭帯などの組織が痛みの原因となっています。
これらに問題が起こると、硬縮(こうしゅく)と言って関節の動きが制限されて股関節の動きが固くなります。
この硬縮が続くと股関節の負担が大きくなり、関節を包んでいる膜に炎症が起こり痛みを感じるようになります。
これが軟部組織の問題による股関節痛になります。
股関節の痛みというと変形性股関節症の様に軟骨がすり減って痛くなっていると思っている方が多いと思います。
しかし、軟骨には痛みを感じる神経は存在せず、軟骨のすり減りが痛みの原因の全てではありません。
実際、軟骨がすり減って消失しているのに大して痛みを感じていない人もおります。
そのため、レントゲンやMRI検査で軟骨のすり減りがない方やすり減りがあっても軽度の方は、この軟部組織の問題による痛みが疑われます。
その他の股関節痛を起こす疾患
股関節唇損傷
FAI
インピンジメント
大腿骨頭壊死
大転子滑液包炎
石灰沈着性滑液包炎
痛風
偽痛風
感染性股関節炎・筋炎
大腿骨頭脆弱性骨折
ペルテス病
関節リウマチ
股関節周囲の悪性疾患
注意が必要な股関節の痛み
突然の痛み、安静にしても痛む、夜寝ていて痛くて目が覚めてしまう。
この様な痛みは関節内に損傷や強い炎症が生じている可能性があります。
緊急性が高いため、すぐに病院を受診して検査を受けましょう。
股関節痛でやっていはいけない事
股関節痛のある方は、股関節部分の安定性が低くなっています。
安定性が低い理由として元々の関節の形状+骨盤の傾きとズレがあります。
腰が反りすぎた反り腰姿勢では骨盤が前に傾いて前傾、腰が丸くなった姿勢では骨盤が後ろに倒れた後傾となっています。
また、立っている時に片足重心のクセがある方は骨盤が横にズレて股関節の安定性が低下します。
元々の関節の形状は仕方のない事ですが、骨盤の傾きやズレは自分でコントロールする事が出来ます。
股関節の安定性は痛みに影響しますので、注意をしましょう。
一般的な整形外科での治療の流れ
問診・検査
問診とレントゲン・MRIなどの検査で軟骨の状態、関節の腫れを確認します。
問診と検査の結果を踏まえ、患者さんに股関節痛の状態を説明します。
治療
その後、病態に合わせて治療が行われます。
多くの場合、痛みの緩和と進行を遅らせる事を目的に保存療法が優先して行われます。
痛み止めの内服薬の処方
注射
リハビリ(電気、温熱などの物理療法や筋力トレーニング)
温浴指導
生活習慣の改善指導(杖の使用、洋式生活)
減量のための食事の指導
これらの保存療法で改善が見込めない症状や保存療法を行っても改善が見られない場合に、関節温存手術(関節鏡手術、骨切り術)や人工股関節置換術などの手術が検討されます。
当院での治療の流れ
カウンセリング・検査
まずは、患者さんの症状をお伺いします。
どんな動きで痛みがでるのか、どれぐらい股関節を動かす事が出来るのかを確認します。
原因の特定
当院での治療で改善が見込めると判断できれば、股関節のどこに痛みの原因があるのかを更に詳しく検査をしていきます。
筋膜整体
軟骨がすり減り、骨自体に損傷が起きている変形性股股関節症は手術でしか治りません。
しかし、軟骨のすり減りがないか軽度で関節の隙間が保たれている状態であれば、筋膜整体により痛みを緩和する事は十分に可能です。
当院では、関節拘縮の改善を目的に筋膜整体を行っていきます。
それにより、股関節の動きや姿勢が良くなり歩行が安定する事で、痛みが緩和していきます。
筋膜整体のポイント
股関節曲げ伸ばしの改善
股関節前面
腸腰筋 大腿直筋
股関節外側
中殿筋 小殿筋
股関節後面
大殿筋 梨状筋
セルフケア指導
関節拘縮の改善を目的セルフケアの指導を行ってきます。
悪い姿勢や歩き方のクセは股関節の痛みを悪化させる原因になります。
お尻を引いた出っ尻姿勢での歩行は、股関節が詰まりお尻の筋肉が弱くなります。
また、内股での歩行も股関節痛を助長させます。
これらの歩き方は注意をしましょう。
まとめ
股関節の痛み=軟骨のすり減りや変形ではありません。
変形が進行し軟骨が損傷し骨自体にダメージが生じると状態に応じて手術が必要になる事もありますが、多くは関節の動きや腫れを確認してきちんと痛みの原因となっている組織を特定出来れば、その組織を治療する事で痛みが緩和して歩くのが楽になります。
股関節の手術は以前に比べて、患者さんに負担が少なく術後の状態も良好な手術が広まってきています。
それでも手術をするとなると、2〜3週間の入院と社会復帰まで3ヶ月程の期間が必要になり、その間は仕事をしていると休職が必要になるため、今すぐの手術は難しいという方も多くいらっしゃるのが現状です。
当院では、手術を回避または手術までの期間を延長する事を目標に治療に当たっております。
仕事、子育て、親の介護などが理由で手術を受ける事が出来ずお困りの方は一度、当院にご相談下さい。
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