四十肩・五十肩

四十肩・五十肩は骨や軟骨に異常がないものの、老化により肩関節周辺の筋肉や靭帯、腱が傷み、滑液包(肩関節を滑らかに動かすための袋状の組織)に炎症が起こる事で痛みを感じる様になります。
そして、次第に炎症が広がると関節を包んでいる関節包に癒着が起こり、拘縮といった関節が固まり腕を動かせない状態になります。
肩関節は構造上、腕がぶら下がっており、横にならない限り腕の重みで常に肩関節の筋肉や靭帯、腱に負担がかかっているため老化による影響が出やすいのが特徴です。

 

病院など医療機関では、正式名で肩関節周囲炎と言われています。
40〜50代の年代に多いため、一般的に四十肩、五十肩と呼ばれていますが、凍結したように固まった状態になるため別名で凍結肩とも呼ばれます。

 

四十肩・五十肩ははっきりとした原因は不明なものの、女性ホルモンが関連しているという説もあります。
女性ホルモンには結合組織(筋肉筋膜、腱、靭帯など)が滑らかになる働きをしている。
だから、出産時に骨盤の仙腸関節や恥骨結合がゆるゆるになり産道が開くと言われています。
逆に女性ホルモンが減れば、関節や結合組織が滑らかに動かずギスギスに変わるのです。
そのため、女性ホルモンの変化と四十肩・五十肩は同じ時期に重なることが多いと言われています。

 

肩関節痛の分類

肩関節の痛みを生じる疾患は、数多くあります。
この中でも特に多いのは、四十肩・五十肩、腱板損傷、石灰沈着性腱板炎による肩関節痛になります。

 

四十肩・五十肩

症状は違和感から始まり、動かすと痛みを感じる様になり、段々と鈍痛やしびれ、痛みが強くなると夜寝てても痛いといった夜間痛を感じる様になります。
軽症であれば、治りも早いのですが鈍痛、しびれ、夜間痛など症状が強い場合は回復に時間が必要です。

 

ズキッとする鋭い痛みで髪を洗ったり、着替えが大変になります。
関節が固まると自分の逆手で支えて頑張って腕を上げようとしても上がりません。
また、自分の腕の重みで痛苦しく感じたり、寝ていても腕の重みで夜間痛を感じます。

 

腱板損傷

腱板とは肩関節の奥にある棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉の腱が集まって板状となっている部分で、これが断裂など傷めたものが腱板損傷。
腕を上げる際に腱板は構造上、肩甲骨の肩峰と上腕骨頭に挟まれやすく損傷が起こりやすい。
重い物を持つなど重労働の作業で何かの拍子に踏ん張って大きな力を使った際に腱板がブチッと断裂をする。
また、加齢により腱板が老化をしてると日常の動きの中で腱板の挟み込みが繰り返され、大きな力を使わなくても腱板の損傷が起こる場合もあります。
腱の老化により、80代になると自然と棘上筋がなくなってる方も多いとわかっています。
四十肩・五十肩と似た症状を呈します。
異なるのが、自分の逆手で支えれば腕を上げられ、腕を動かすとジョリジョリ、ゴリゴリといった関節の軋む音が聞こえます。

 

石灰沈着性腱板炎

腱板に石灰(リン酸カルシウム結晶)が溜まり、腱板から滑液包内に破れ出て炎症が起こる疾患。
特に腱板の棘上筋と棘下筋に石灰沈着が多い。
症状は五十肩と違い、急性に強烈な痛みが起こります。
また、痛い部分の肩関節の皮膚が発赤と言って赤く腫れがみられる。
少しでも肩を動かすと激痛が走り、夜も眠れないほどの痛みが特徴。

 

その他の肩関節痛を起こす疾患

肩関節周辺の骨折や脱臼
化膿性肩関節炎
痛風
偽痛風
関節リウマチ
腋窩神経痛
結核性肩関節炎
肩関節不安定症
投球障害
頸椎疾患
胸部内臓疾患

 

明らかに怪我をした肩関節の痛み。じっとしていても痛い。肩だけでなく背中や顎にも痛みが広がった場合は注意が必要です。

 

四十肩・五十肩でやっていはいけない事

肩関節の痛みが強い時は、無理に動かすと悪化をしますので注意をしましょう。
痛みが和らいで来たら、少しずつ動かすようにしましょう。
また、肩関節を冷やすと痛みが強くなる場合がありますので、夏場はエアコンで冷えたりしない様に衣服に調整しましょう。

 

一般的な整形外科での治療の流れ

問診・検査

問診とレントゲン・MRI・エコーなどの検査で骨、靭帯の損傷や石灰の有無を確認します。
問診と検査の結果から肩関節痛の病状を患者さんに説明致します。

 

治療

その後、病態に合わせて治療が行われます。
三角巾やアームスリングの使用
消炎鎮痛剤、湿布や塗り薬の処方 
ステロイドホルモンの注射
局所麻酔薬の注射
ヒアルロン酸注射 
石灰穿刺→石灰の吸引
リハビリ(温熱療法、運動療法) 滑車訓練 アイロン体操
これらの保存療法で改善が見込めない症状や保存療法を行っても改善が見られない場合に、関節鏡手術や直視下手術などの手術が検討されます。

 

当院での治療の流れ

カウンセリング・検査

まずは、患者さんの症状をお伺いします。
どんな動きで痛みがでるか、どれぐらい肩関節が動かせるかを確認します。

 

原因の特定

当院での治療で改善が見込めると判断できれば、肩関節のどこで炎症や関節の拘縮があるのかを更に詳しく検査をしていきます。

 

筋膜整体

四十肩・五十肩で初期の炎症が強い時期は、整体よりも注射や薬による消炎作用が有効です。
炎症が引いて拘縮といった関節が固まった状態になると、筋膜整体により更に痛みを緩和する事は十分に可能です。
当院では、関節拘縮を起こしている関節包の癒着改善を目的に筋膜整体を行っていきます。
それにより、肩関節の動きが良くなり日常生活で腕を動かせる範囲が広がり、痛みが緩和していきます。

 

治療のポイント

まずは、整形外科でレントゲン検査

単なる四十肩・五十肩なのか腱板損傷や石灰沈着があるのかを検査しましょう。
四十肩・五十肩は骨や軟骨の異常がないため、レントゲンでは問題がありません。
腱板損傷はレントゲンで肩峰と上腕骨頭の間に大きな隙間が確認できます。
※損傷が軽度の場合はレントゲンで異常がない事もあり、MRIやエコーで詳しい検査が必要になります。
石灰沈着性腱板炎はレントゲンで石灰の確認が可能です。

 

四十肩・五十肩と治療方針が異なるため、腱板損傷や石灰沈着性腱板炎を見逃さない事が大切です。

 

痛みのステージを把握する

四十肩・五十肩には回復段階のステージがあり、ステージによって状態や治療方針が異なります。

炎症期

痛みが強いため腕を動かせない時期
とにかく痛みを楽にするのが必要
ステロイドや局所麻酔の注射や消炎鎮痛薬が有効
痛みを無理して動かさない

 

拘縮期

痛みは少し治まるが、関節包の癒着で動かせない時期
拘縮の悪化を防ぐのが必要
ヒアルロン酸注射や消炎鎮痛薬が有効
関節周辺の緊張した筋肉をほぐす
関節を動かす関節可動域訓練を始める

 

回復期

痛みが減り、関節の動きが回復する途中の時期
痛みはかなり減少してくるため、関節を更に動かす事が必要
拘縮期に引き続き、筋肉をほぐして関節可動域訓練を行う
更なる改善、再発予防に姿勢の調整を行う
痛みが落ち着いてきて、この時期に関節の固さを放置してしまうと、関節拘縮が残ってしまうため注意が必要です。

 

日常生活で気を付けること
痛い動きを避ける

普段の何気ない動きでも痛みは起こります。
どういう動きで痛みがでるのか把握をする事が大切です。
後ろの物を取る、電車バスでのつり革につかまる、シートベルト、パーキング支払いなど痛みやすい動きはたくさんあります。
横着して腕だけで動かず体ごと動かすようにしましょう。
荷物やカバンなど重い物を持つ時は肘を閉めて腕を体に近づけて安定した状態で持ちましょう。

 

着替え

着替えは毎日の事で、痛みを感じる動きになりますので、なるべく痛みの出ない動かし方をしましょう。
@脱ぎ着しやすいゆったりとした物を着る
A伸び縮みする素材の物を着る
B痛い方から袖を通し、脱ぐのは痛みのない方から

 

寝る姿勢

仰向けで寝る時は手のひらをお腹に乗せた状態で、肩関節の後ろと肘にタオルや枕を置き、腕の重さが関節にかからない様にしましょう。
横向きの場合は、なるべく痛い方を上にして横向きにして、痛い方を下にして寝る場合は下の腕を前に出して肩甲骨に体を乗せて横になりましょう。

 

まとめ

肩関節の痛みは四十肩・五十肩が代表になります。
しかし、類似疾患の腱板損傷や石灰沈着性腱板炎も比較的よくみられる疾患であります。
これらの疾患を見逃さない事が一番大切になります。
きちんと検査をした上で四十肩・五十肩とわかれば、状態に合わせた治療を行う事で改善して日常生活で元の様に動かすことが可能になります。
なかなか良くならない肩関節の痛みでお困りの場合は、一度ご相談ください。

 

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